越智竜也先生の事件の広島地裁判決について 弁護団

 広島地方裁判所民事第3部(小西洋裁判長)は、2018年10月31日、

越智竜也先生の山陽高校の教員としての地位確認等を求める訴訟について、

越智先生の請求を認めない判決を下しました。判決が、越智先生の請求を認め

なかった結論自体は明らかに不当です。

 しかし、判決は、以下のA・Bに述べるように、山陽高校の主張を全面的に

認めたわけではありません。

A 山陽高校は、団体交渉の席上で、越智先生との労働契約を更新しなかった

理由について「期間が満了したことだけで足りる」旨を説明していました。

この点について、判決は、越智先生が山陽高校との労働契約が期間満了時に

更新されるという期待を持つことは合理的な理由があるとして、労働契約法

19条の適用を認め、単に期間満了しただけでは更新拒絶は認められず、雇止め

を行うためには客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であると認められる

必要があると判断しました。

B 山陽高校は、平成27年3月26日付け書面で、越智先生を雇止めにする

理由として、①私学適性検査の結果、②授業未実施(無届自習)、③クラブ

(野球部)指導の問題、④生徒への体罰、⑤生徒の窃盗事件に関する警察官への

不適切な対応、⑥推薦入試に関する不適切な対応を挙げていました。この点につ

いて、判決は、上記①〜⑥は全て雇止めを認めるだけの重大な事由とは認められ

ないと判断しました。
 
 結局、判決は、山陽高校が、後に追加した雇止め理由である、越智先生の生徒に

返金するお金の問題だけが、重大性は明らかであるなどとして、雇止めを認めました。

しかし、判決のお金の問題に関する事実認定は、誤りが多数あります。また、判決は、

越智先生を含めた担任教諭がお金の管理・返金業務について過大な負担を強いられて

いたことをあまりに軽視しています。

 我々弁護団は、広島高裁での控訴審において、改めて越智先生の山陽高校における

毎日の業務実態がいかなるものであったかを訴えて、地裁判決を取り消し、越智先生の

地位確認等を認める判決を獲得するために、引き続き全力を挙げて頑張ります。
以 上