「オバマ大統領の広島訪問について」 声明   2016年5月27日

広島県原爆被害者団体協議会の声明!

 内外の注目の中でオバマ大統領の広島訪問がおこなわれた。

注目の理由は、広島に原爆を投下した核大国の現職大統領の訪問というだけではない。

今、核兵器廃絶をめぐり世界的に大きな変化がおこっている、非人道的な核兵器

存在を許さず、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国は国連加盟国の多数になっている。

核兵器の非人道性に着目した国際会議が連続的に開かれ、核兵器禁止をテーマとする

国連軍縮作業部会が開かれ議論がすすめられている。

このような動きに対し核兵器保有国と同調する国は「核兵器禁止は時期尚早」

「段階的にすすめるべき」「核兵器は安全保障からの考慮が必要」など禁止条約に

反対している。

核兵器保有国と非保有国の意見の違いと対立が明らかになり、小数派となった核保有国が

抵抗している。

こうした中、核兵器国の大統領が核兵器の深刻な非人道性を体験したヒロシマを訪問し、

どのような発言するか注目された。

オバマ大統領の発した「所感」は原爆投下の原因にふれないまま「原爆の被害や

世界大戦など戦争の被害と市民の苦しみ」などにふれ「核なき世界を追い求めなくて

はいけまぜん」と言及している。しかし、それを実現するための具体的な政策も、

現在、核なき世界を求めて開かれている国際会議に対する態度も明らかにしていない。

そして「私が生きているうちにこの目標は実現できないかもしれません」と表明している。

54歳の大統領の生きている間に、核兵器のない世界の実現ができないならば、

これから数十年の間、人類は核兵器の脅威と恐怖の下で生きていかなくてはなら

ないこととなる。

これは、ヒロシマで大統領と面会した被爆者をはじめ全ての被爆者が求めている

「生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと切望しています」

(国際署名の訴え)の願いを真っ向から否定するものである。

大統領がヒロシマで認識した核兵器の非人道性と被爆者の声にそって核保有国として

政策の抜本的な転換を求める。
そして、見過ごすことのできないのは、大統領に次いで行った安倍首相の

核兵器のない世界を必ず実現する」の発言である。

憲法の下でも「核兵器保有は許される」との見解を表明しながら「核兵器

ない世界」の実現とは欺瞞としか言えず、怒りを禁じえない。

核兵器廃絶という大きな仕事は、国際政治、心ある政府、自治体、市民の世論と

運動の協力、わけても市民の運動が重要である。

大きな影響力を持つとしても大国の政治家に人類の運命をゆだねることはできない。

私たちは、被爆者が訴えた「被爆者が生きているうちに核兵器禁止条約の実現」を

求める「核兵器廃絶国際署名」を大きく広げ、核兵器のない世界の実現のため努力を

続けることを表明する。