8月5日 広島市で行われた「志位 演説」での大平喜信衆議院議員の訴え

みなさん、こんにちは。日本共産党衆議院議員の大平喜信です。

明日、原爆投下から72回目となる8月6日をむかえます。

原爆によって亡くなられた方、残されたご家族の皆さん、また今日まで懸命に生きて

こられた被爆者の皆さん、お一人お一人の苦しみや悲しみにあらためて思いをはせ

ながら、今日こうしてこの場にたたせていただいています。

 今年7月、私たち日本共産党は、昨年の国連総会で決まった核兵器禁止条約の国連会議に

代表団を派遣し、私もその一員として参加をしました。

そして核兵器をこの世界ではじめて違法化するというその歴史的瞬間、核兵器禁止条約が

採択されたその場にたちあってきました。

私が今日、皆さんにご報告したいことは、この会議に参加をして、世界中から集まった

政府代表の皆さんたちと、心から共鳴しあい、確認をしあうことのできた2つのことに

ついてです。

まずその一つは、被爆者が体験した地獄を会議参加者一人ひとりが我が事として受けとめ、

核兵器の非人道性を肌身で感じ、どんな理由があろうとも核兵器を持つこと、使うことは

決して許されない、完全廃絶を一日も早く実現させなければならないと決意したことです。

そして、そのことは条文の中にもはっきりと記されました。

1歳の時に広島で被爆した藤森トシキさんは、国連会議でうったえました。「爆風で土手の

下まで吹き飛ばされ、包帯でぐるぐる巻きにされた私は、やがて死を迎えると思われて

いたが奇跡的に生きのびた。建物疎開に動員された姉は遺体さえ見つからないまま。

その年の末までに21万人が死亡し、生きのびたものも今日までの2万6166日

間苦しみ続けている。同じ地獄をどの国の誰にも絶対再現してはならない」。

それに対して、この会議の議長を務めたエレン・ホワイトさんは最後のあいさつで次の

ように述べました。「ヒバクシャは筆舌に尽くせない非人道的な事態をいかなる人に

対しても二度と遭わせてはならないと教えてくれた。

今日私たちは世界に向かって言うことができる。

ついに核兵器禁止条約ができた、と。ありがとう」。

こうした響きあいのなかでできた核兵器禁止条約の前文には、「核兵器のあらゆる使用が

もたらす破滅的な人道的結果を深く憂慮し」「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい

苦難と損害に留意し、」「核兵器のいかなる使用も人道の諸原則および市民的良心の命ずる

ところに反することを再確認」するなどと書きこまれました。

被爆者のみなさん、生きていてくれて本当にありがとう。そのつらい体験を話してくれて

本当にありがとう」と、世界各国の政府代表の多くがそう語っていました。そしてさらに、

「この地球上から核兵器をなくすためにどうか力を貸してください、私たちも引き続き全力で

がんばります」と語っていました。

私はヒロシマに生きる、また全国に暮らす被爆者とそのご家族のみなさん、無念の思いを持ち

ながら亡くなられたすべての被爆者のみなさんに、心からの敬意をこめて、そのことを

ご報告したいと思います。

もうひとつは、被爆ヒロシマはじめ、日本全国、全世界で平和な世界をと願う市民の

行動それこそが政治を動かし、この条約をつくる大きな力になったということです。

そしてそのことが各国政府代表からも口々に語られ、条文にもしっかり書きこまれました。

南米のチリの代表は「市民社会はこの交渉の道義的な羅針盤を示した。交渉の真の同僚だ」と

述べました、ブラジルの代表は「市民社会は強力な条約をつくるうえで、重要な貢献を

した」と述べ、エジプトの代表も「この歴史的成果は、市民社会の積極的参加抜きには

ありえなかった」と述べました。

核兵器禁止条約の前文の最後にも、私たちは核兵器の完全廃絶にむけて市民社会の役割を

強調するとはっきりと書きこまれました。

一人ひとりの署名が、その何十倍もの規模でたとえ断られてもよびかけ続けた一回一回の

声かけが、60年間、日本全国で歩き続けてきた平和行進の一歩一歩が、原水爆禁止世界

大会をはじめ全国津々浦々でとりくまれてきた一回一回の集会が――そのすべてが積みあ

がって巨大な力となり、非核保有国政府とスクラムをくみ、核大国を震え上がらせる

核兵器禁止の国際ルールをつくりだしたのです。

私は長年に渡って、暑い日も寒い日も、苦労や困難にも負けず、平和を願って行動を続けて

こられたすべての市民の皆さんに、そのことを心からの敬意をこめてご報告したいと思います。

この歴史的瞬間、画期的な条約の採択の場に、日本政府・安倍政権は欠席をしました。

世界中からも失望と怒りの声が寄せられました。被爆国政府として、あまりにも情けない、

恥ずかしい、許しがたい態度ではありませんか。安倍政権は核兵器禁止条約に署名せよと

この被爆ヒロシマから大きくつきつけようではありませんか。

それでも被爆者たちのうったえ、ヒロシマナガサキの声が聞こえないのであれば、そんな

政権はもはや退陣に追い込む以外にありません。解散総選挙に追い込んで安倍政権を終わらせ、

核兵器のない世界の実現へ文字通りの先頭に立つ、非核の政府をつくるために、皆さん

ご一緒に力をあわせようではありませんか。

被爆者の皆さんが生きているうちに核兵器のない世界の実現を。引き続き私もその先頭に

立ってがんばる決意申し上げ、うったえとさせていただきます。ご清聴ありがとう

ございました。