5カ月あまりの間に保有株式の時価総額が100億円以上増えた株主が38人

安倍晋三首相が日銀を巻き込んで進めている「異次元の金融緩和」。銀行に資金を

ジャブジャブ供給しても、企業が積極的に融資を受けて設備投資をするでもなく、

これで「デフレ不況」が打開できるわけではありません。

しかし、「余った資金が株式投資に流れこみ、株価が上がるだろう」と当て込んで

投機的な資金が動き、株価が上昇しています。

これによって、大株主の保有資産額は大きく増えています。

さらに金持ちに

 「日経新聞電子版」(4月15日付)は、この5カ月あまりの間に保有株式の

時価総額が100億円以上増えた株主が38人にのぼると報じました。

4月25日には、日本共産党大門実紀史議員が参議院予算委員会で独自の

試算結果を示し、「マネーゲームによって大金持ちはさらに大金持ちになる」と告発しました。

 「日経」と大門氏の試算は、いずれも株価の起点を昨年11月14日として、「日経」は

今年4月11日まで、大門氏は4月22日までの株価上昇による時価総額の増加を計算した

ものです。

大門氏の試算では、トップはユニクロを傘下にもつファーストリテイリング柳井正氏の

4047億円、2位はソフトバンク孫正義氏の3863億円です。

 柳井氏の場合でいうと、昨年11月には1万6690円だった株価が今年4月22日には

3万4300円に倍増しています。

柳井氏は2298万株を保有しているため、時価総額が4047億円も増えたことに

なります。

 大門氏の試算では、このほかに、楽天三木谷浩史氏(867億円)、セガサミー

里見治氏(484億円)、ブリヂストンの石橋寛氏(474億円)、セブン&アイ伊藤雅俊

(255億円)、任天堂山内溥氏(205億円)、京セラの稲盛和夫氏(120億円)などが

名を連ねています。このリストにはありませんが、トヨタ自動車社長の豊田章男氏の保有株式

時価総額も114億円増えています。

庶民には無関係

 「日経」の試算は、本人名義の株式だけしか計算していませんが、自らが出資する資産管理

会社の名義になっている株式を含めると、保有株式時価総額が100億円以上増えた人は、

さらに多くなります。私の試算では、少なくとも60人は下らないと思われます。

 株価は上がっても、多くの庶民には無関係です。賃上げの動きも、まだ一部の企業に

とどまっています。

かりに物価が上がったとしても、所得が増えなければ暮らしは厳しくなるばかりです。

庶民の苦しみをよそに、大株主には巨額の恩恵がもたらされている、これが

アベノミクス」の実体です。

  (垣内亮 日本共産党政策委員会)