原子力多角的に検証を ビナードさん 広島で語り合う会

広島市に拠点を移して活動している米国出身の詩人アーサー・ビナードさん(45)と

語り合う会が、中区の広島YWCA会館であった。福島第一原発事故後のヒロシマをどう促えるか

をテーマに、約40人の参加者と議論を深めた。

 ビナードさんは、原爆投下の一か月余り後に日本を襲った枕崎台風で、原爆による放射性物質

の多くが海に押し流されたと指摘。広島や長崎ではなく、内陸部の都市に投下されていたら、

「残留放射能による人体への影響が大きいことがばれて、米国の核兵器開発が袋小路に入る。

ごまかしの利く海沿いを選んで落とした」と述べた。

 さらに、「広島を語り継ぐ中で、多くの被害が闇に葬り去られていることを忘れてはならない」

と強調。「ヒロシマの体験を自分のものにしてほしい」と訴えた。

 原子力の平和利用の問題点についても触れ「ごまかしを見抜いた上で、どうやって核をなくして

いくか考えて」と呼び掛けた。

 参加した高校2年生の野村慶太さん(17)=廿日市市=は「原爆や原発について多角的に

考えることが大切だと感じた」と話していた。

 会は、広島YWCAの創立60周年を記念して、11日に開かれた。

  −− 中国新聞 2月18日付けより −−